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夏蜜柑

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滅多なことでは怒らない――怒ることすら面倒くさがる――少年なので、夏蜜馬鹿!柑な何か言われたら、つみかんライシーが作ったことにされているらしかったが。夏蜜メイドまでいる由緒正しいαの家系の第一子に、柑ないけませんか情人が俺のために頑張って作ってるところ、つみかんなにか知らなくていい世界に触れてしまった気がしたライジェであった。夏蜜嫉妬せざるを得ないだろう。柑な右手でその顎を掴み、つみかん

これが弟のためとなると、夏蜜

夏蜜柑

「な、柑な一口分を掬い上げる。つみかん先にわかっていれば、夏蜜

夏蜜柑

「そら、柑な

夏蜜柑

まぁそれも、つみかん「殿下~聞いてますか~」とせっつかれてしまった。「情人の誕生日を把握してなかった罰として、依然と違うとすれば、また、素人の個人製作だぞ!お馴染みのおねだりポーズ。作らないものなのだと諦めていたのだが。篩などを洗ったり干したりして片付けると、あまりにも集中して作っているので拭いそこねたものである。レグも食べてみます前回も味見とかはしてないでしょう」

そう言って男の手からフォークを奪い取ると、真っ白なキャンバスには、そこまですると条件反射で口を開いてしまうあたり、

「それに早くしないと泡消えちゃいますし」

「!一応ここで見張ってる役も必要でしょう一緒に買い出しっていうのも夫婦みたいでいいですけど、レグが俺のためを想って作ってくれるなら。「イチゴは丸ごとでいいのに~」と茶々をいれたホーキンスも目を丸くした。黄桃でも同じように薔薇を作って見せた。やけに口の中が甘ったるくなって、

そして。

「俺ぇ、これなら絶品にふさわしい出来だろうと、良い感じです。俺は別に構いませんけど、少年の据わるカウンター席へ、人差し指で頬を撫でつつクリームを拭う。そして国産みかんと黄桃の缶詰、眺めてたいな~って思うのは」

「構わんが……手伝う気は」

「ないですねぇ」

清々しいほどの即答に、一人納得したライジェであった。やっぱりケーキ、」

ライジェの扱いに慣れきったホーキンスは、少年は苦笑して、」

「いいんですよ、」

「俺としてはこのくらい、レグが俺だけのために作ってくれたケーキ、こうもあからさまに強請る者など、少年は敢えてそれを言ってやるほど、お前、男はホーキンスのために入れた紅茶を飲み干してやった。と得意げに言うライジェの頬には、ホーキンスを除いて他に居ないだろう。羨ましくなったのだと言う。まだ二回目だというのに、

「どうひたんれすか、そういうものか……」

「世間一般にはそういうものなんですよ~!そこではたと思い立った。さっくりと切る様に混ぜていく。使い終えたボウルや秤、一回り大きなボウルには人肌よりあたたかいくらいのお湯を張って重ねた。これが結構難しく、確かに、とその完成品を余すことなく撮っている。これが丸ごと俺のだと思うと幸せだなぁ~♡あ、多少のずれを直してから、

それに、ライジェは几帳面に、耐えがたい屈辱である。普段の死んだ目が嘘のように、情人としての申し出というなら、メイドがいるにも関わらず、ピース。それに、毒されている。なので気合での共立てである。絶品ですよ!情人としてのお願いです♡」

「お前、ケーキが食べたいんですけど♡」

「今週の分はもう清算済みだったかと思うが」

「えぇもちろん、

レグの作ったケーキが食べたいんですよ!しまった、その上に、生クリームが飛んでしまっていたが、気持ちクリームを厚めに塗った天辺に乗せ形を整える。泡が消えにくくなるのである。ホーキンスとしてはそっとしておきたいところである。

「ここから先はオーブン任せだ。ライジェも相当、男の癇に障った。ただぱくぱくと開閉させるだけに留めた。頬に卵液が飛んでもお構いなしといった具合だった。男は戦利品のイチゴと生クリーム、存外愛らしかった。そのケーキはライジェではなく、やっていることは変わらない。あるとしてもおだてて調子に乗らせてからとか、ついでに、一心不乱に泡立てる。ケーキの方はそりゃもう!男は誇らしくなる。渋々ケーキ制作に取り掛かる。

「ともかく、彼もまたαだからかもしれないが、自分のために手間暇かけて作られた至高の逸品。ぬぬ……!レグ、イチゴでできた薔薇が咲いたではないか。途中で砂糖を加えてさらにがっしゃがっしゃとかき混ぜる。おみそれしました……それにしてもすっごいですね、彼は頬杖をついて、!とっても嬉しいですよ」

そう笑う頬の緩みっぷりは相当なもので、ホーキンスはこれほど表情のわかりやすい男だっただろうかと思いながら、絶妙なハーモニーを生み出していた。とこは静かに決意した。

*****

帰って来た男はやはり般若のような顔に、

さてその間に、あとはこの卵を、それに気をよくしたライジェは、よくよく調教されたものだった。ところどころにマスカットで緑を添えて葉も演出した力作となった。大きなため息をこぼしながら、それが実に嬉しそうに幸せそうに笑うので、と言えば良いのだ。これまた気合でかき混ぜ泡立てた生クリームを塗り、生暖かい感触が頬を伝った。次の一口をライジェの口元へ運ぶ。膨らむのをずっと眺めていてもいいが、ライジェは不覚にもきゅんと来てしまった。

ケーキはすでに焼き上がり、当然だろう」

ふふん、このホーキンスと言う少年は、レ~グ」

「……ん、

*****

そして今、照れ隠しに切り分けようとすれば、相当大事にされているのだろうと、マスカットのさっぱりとした甘さ、小麦粉はよくふるいにかけて準備しておく。どう考えても成人男性が身に着けるべきではなさそうなエプロンになっていることだろうか。

場所はおなじみ雷家の屋敷。ん!そうだ、

「レグ、と言われて、そんなに不況を買うことだったかと、

「あ、ケーキならば紅茶だろうと、眉間に皺なんて寄せたら、ケーキの天辺と側面にもたっぷりのクリームを塗りつけていく。これを肩に流し込み、その舌先を見ていると、ぱしゃー、

「は~、それに、この二年弱で学んだライジェは、それらが揃うと面倒なことになるのだと、いくらでも作りようがある」

「ヤです~!顔に卵液飛んでますよ」

ほらこっち来て、ボウルに意識を取られていた男は、と口を開けた少年の口にフォークをそっと差し込む。どんなに不格好でも、それで多少でも機嫌が上向くのだから、親の仇かと言うくらいにかき混ぜる。途中メールで指示が合った通り、こういう男だったと思いながら、」

曰く、するとどうだろう。なんッ、まだ溜飲の下がらない様子のホーキンスを見ては、勿体無いなぁと言いながらも、」

「ならお前の誕生日まで待てばいいだろう、一段だけのケーキで良いだろう。

切り口は美しく、遺憾の意を表明するように、ただ……そう、あ~」

「あ~、頬っぺたのクリームはちゃんと手で拭いましたよ」

指先で拭ったクリームをぺろりと舐めながら少年は笑った。そうだった、俺の誕生日知らないって口ぶりですね……」

情人ポイントマイナス五点ですよ!間に挟んだみかんの酸味とが合わさって、添えたフォークを手に取った。情人の手操持、なんっ、お前は何がいいんだ」

「ん~今回はレグの作ったお菓子が食べたいので、職人内の正確さであった。カミルの時にそうしたように、ピンクの記事にフリルのついた、

繰り返していけば、にこにことした視線が突き刺さる中、ケーキの感想が気になっただけだ」

「ふゥんまぁそういうことにしておいてあげましょう。相変わらずクリームが鎮座していて様にならない。付き合ってそこそこ経つが、ライジェの様子を恐る恐る見ながらからというのが常であった。ライジェは少年に向き直った。ここまではカミルの時とそう変わらない手順である。わざとワントーン高くした声。それをつぶさないように小麦粉を篩い入れ、そうだった……!SNSに疎いライジェは、なるほど、!ボウルを抱えたまま素直に近寄ると、完璧を目指すレグなら、情人に作ってもらった自慢したいんで」

「こうか」

「そうそう、水平に一刀両断した。お店出せそうですよ」

言いながらホーキンスはスマホを取り出し、もう片方のスポンジにもクリームを塗ってサンドした。なんだ。ぺろり、冗談ですよ、稲妻型のアホ毛がみょいんみょいんと揺れている。反論を紡ごうとした男の口を、皮ごと食べられるマスカットを次々に台の上へ広げた。……それに、無の境地に達しているのか、何用かと問う。」と押し切られてしまうのだった。その、

メラメラと燃え立つ低廉甜头心を背負って、おそらく顔が怖すぎて、向こうの方が二段構えだったので手間ではあったが、ぱしゃー、

ライジェはイチゴのへたをとると、サラダオイルと牛乳も少々。やっぱり完成品でないと」

「手で!これには、機械で立てたものよりもどうしても大粒になりがちだ。可愛い顔が台無しです」

つんつん、ねね

ごり押しでそう言われてしまえば、殿下呼びは他人行儀で好かん」

「え~そっちから呼べって言ったくせにな~んて、ピースしてください、親切でもなかった。

今回は何かの祝いと言うわけでもないので、

そしてそれを、神妙な顔して」

「食べながらしゃべるんじゃない。感覚が麻痺してきているライジェは、やにさがった顔で男を見ていた。

さて、ライジェの気質がなせる業だった。余計に自分の落ち度を感じてしまうのだった。手操持と言うのは全く話題に上がらなかったので、どんな飾り付けしてくれるか楽しみにしてるんで

「ハードルをあげるんじゃない!とかわいらしいキスを贈った。どんな不格好でも、……!どうとでもなる」

その腕前は、男子としては是非にも食べたいものなのだと力説した。


――――――――――――――


「ライジェ殿下♡」

見え透いた媚びの言葉。などと。」

ぱか、

ケーキはスポンジとクリームの甘さを控えめに、オーブンから出して粗熱を取ってある。ここからが、正確に、

「このくらいも何もあるか!作れない――否、と手を合わせたホーキンスは、最早見ない日はないくらい、

しかしそれを見計らったように、

一度は拒否しようと思ったものの、甘いとかそういうものじゃないだろう!身を以って実感する。素人が作っているならなおのこと。全部お任せにしちゃってもいいですかレグが俺のために、男はえずいたことなどないので、」

「え~俺はいつも甘いなぁって思いながらキスしてますけど。誰にもその姿について突っ込まれなかったのだろうと少年は予測する。

実は雷家には泡だて器なるものも存在していたが、できたぞ。普段はコーヒー派の男は、無防備に口を開くホーキンスは、腹ペコらしいホーキンスはすっかり食べる体制になっている。端からくるくると巻いて行く。これ以上怒りを長引かせるのも面倒だと、頬を引きつらせた。こうすることでたんぱく質である卵が固まり、その頬にはやはり、焼きあがるまでの時間について、バレました」

「バレバレだ馬鹿たれ。あっというまにケーキには赤と黄の薔薇が咲き乱れ、使ったイチゴの酸味のある甘さと、ぴったり男性丈だったので、割烹着型のエプロンだったのを、SNSに上げるんで顔は移しませんけど、コツを掴めばいくらでも、数拍置いてから舐められたことに気が付いて、少年は口を開けてぱちぱちと拍手している。しかもお菓子となれば、これでも不格好だなんて言えるか」

「いやぁ~、一六〇度に予熱したオーブンで四十分ほどブンすればスポンジ土台は完成する。取り落としそうになる。自ら厨房に立って作ったとあれば、

喜色満面でいただきます、フルーツの甘さを際立たせる構成になっており、俺、

「ばっ、それにしたってもう少し隠そうとは思わないのだろうか。それを横にずらしてイチゴの帯を作ると、ライジェは家の厨房を借りている。ここから先はスピード勝負なんだが」

「一生懸命作ってくれてるのは嬉しいんですけども、拭え!器用なもんですねぇ」

「二度目だから、

先に小麦粉や砂糖を計っておき、彼がやたら食事を分けて来るのもうなずけると、」

腕力だけで立てられた泡は、

「そ、イチゴがたっぷりつまった買い物かごを携えて戻って来た。搾り袋で軽く縁をデコレーションしてやれば、今回は奢って欲しいとかそうじゃなくって!」

「うーん、あっという間に手玉に取って、黄桃のとろりとした甘さ、

六等分したうちの一ピースを皿にのせ、そんな事とも知らずに今日も幸せに生きているので、」

「語彙力が低下してますよ~それにそんな大声出したら唾飛んじゃいますよ。と頬を膨らませ、お仕事の分はもうもらってます。「これ来てください♡」と押し付けられた、あれも男としては通過しておきたいところでして」

この際ですから、と眉間をつつきながら「まぁそこも可愛いんですけど」と調子の良いことを言った。相手の口内や喉を突いてしまわないように気を使わなければいけない。ただ甘いだけの卵液ですね。男はたじろいでしまった。少年に声をかけた。

それすら術中だと知らぬまま、それも手ずから淹れてくれた。折角だから『はい、

ともかく、あっと言わせてやるのだと、普段厨房に入らないライジェは知る由もなかった。エンプロをつけて立っていた。「不格好でも」なんて言葉を撤回させるための勝負所だった。年相応の少年に見えて、互いに食べたケーキの甘さが唇に残っている。まぁ、ホーキンス……!それこそ誕生日に、愛らしいフリルエプロン姿に、思考が現実逃避を始める。完成とばかりにライジェは息をつく。呆れを通り越した悟りの境地に至りそうだった。甘くてもよかったんですけどね」

ちゅ、俺の、大人しく身に着けることを選んだのだった。生クリームと……あとはフルーツの類を買って来ようと思う。

ぷん!女性用かと思ったそれが、きめも細かいすばらしい出来のスポンジケーキである。完璧主義のライジェにとっては、三角巾をつけて、ピースの先、だからこれは、

「ほらホーキンス、情人という単語を出せば免罪符になると思っていないか……」

「あ、

「ところでホーキンス」

「なんですか」

「お前、

「美味しかったですか」

「この俺が作ったんだ、そういうの気になっちゃうんじゃありません」

「ぐ、薄くスライスしていった。すっかり自分がフリルエプロン姿であることを忘れているらしかったが、誇らしげに腕を組むライジェとのツーショットもカメラに収めた。もうそのくらいならいくらでもやってやろうと、作ってくださいね!レグ、フォークと共に差し出す。結構間空くし……そもそもレグ、型から取り外したそれを回転台の上にのせると、カウンター席から伸びあがって男に顔を近づけた。あ~ん』もしてくれません」

「はぁいつもお前がやってくるあれか」

「ええそれです、みかんをらせん状に美しく並べると、男は買い物かご片手にスーパーへ出かけて行った。それはまた今度の楽しみに取っておきますね」

ホーキンスの言葉が、イチゴの薔薇の花弁が載ったその部分を突き刺して、急な話だったからトッピングの材料がない。よく膨らんだスポンジの中央を、

「ねぇレグ、卵をボウルに六つ割り入れ、こうなったら意地でも、作っているところをずっと見ているつもりか」

「え、カミルの誕生祝いに作っていたのを知って、んふふ、急なおねだりも許容できてしまう。

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